地域住民の交通安全に貢献。呉羽自動車学校で高齢者向けサポカー講習を開催

『呉羽自動車学校』教習講習課課長・中川 栄二さん

自動車教習所といえば運転免許を取るところだが、“地域の交通安全センター”としての役割も大きい。『呉羽自動車学校』では、高齢者講習や企業ドライバー安全運転教育、小学生の自転車教室などの幅広い地域密着の活動で、住民の無事故を手助けする。今回は、先日行われた「サポカー体験型交通安全教室」の模様をお伝えするとともに、これらの活動を積極的に運営し、地域の安全教育に貢献する教習・講習課課長の中川 栄二さん(50)にお話をうかがった。

呉羽自動車学校でサポカー教室を開催

「サポカー体験型交通安全教室」の様子。

2023年9月27日、『呉羽自動車学校』で、富山市・富山西警察署と合同の「サポカー体験型交通安全教室」が開かれた。参加した呉羽地区のお年寄りが、高齢ドライバーの交通事故発生状況や特徴について話を聞き、屋外でサポカーの走行体験を行った。

サポカーは、自動ブレーキなど先進安全技術を搭載した「セーフティー・サポートカー」のこと。近年は、運転免許の更新・再交付で「サポートカー限定免許」が取得できる。また、サポカー購入や買い替えが難しい方には「後付け装置」もある。

今回の交通安全教室の目的は、加害者にも被害者にもなる比率が高い高齢者に、サポカー体験を通して交通事故防止の意識を高めてもらうこと。参加者のほとんどがサポカー試乗は初めて。衝突時の被害を軽減する自動ブレーキや、ペダル踏み間違い急発進抑制装置を体験し、「本当に止まってすごい」「あると安心」と、安全性能を実感したよう。

実際に取材スタッフもサポカーに試乗。時速30kmで走行する車で自動ブレーキを体感した。

段取りや打ち合わせを綿密に行い、現場で参加者の体調や理解度を観察するなど、交通安全教室の円滑な進行を支えた中川さん。今回のサポカー教室を振り返ってもらった。

中川さん:サポカーは安全性の向上、運転能力の手助け、環境への配慮、運転者の負担軽減、そして交通事故予防の役割を果たします。参加された方は搭載されている安全運転のサポート機能を実際に体験し、より理解し納得されていました。ただしこれらの機能は補助的なもので、常に注意深く運転することが何よりも大切。そこも改めて認識していただけたかと思います。

高齢者講習での「気づき」を教習に活かす

「サポカー体験型交通安全教室」の様子。

『呉羽自動車学校』では、70歳以上の運転免許証更新に義務付けられる「高齢者講習」を行っている。中川さんは高齢者ドライバーに対してどのように感じているのだろうか。

中川さん:高齢者は自分の運転技量を過信していると思われがちですが、自分である程度理解されています。視力や判断力などの身体的な衰えで、夜間乗らないとか、病院や買い物などの生活に必要な場合を除いて極力運転を控えている方も多いです。
高齢者講習の視力検査の一つに夜間視力があり、暗闇から見えるようになるまでの秒数を測ります。若い人なら15秒程度で戻る場合でも高齢者の場合は1分以上かかる場合が多いです。ですから夜間やトンネルの中など暗い場所では見えにくい方がたくさんいることを、もっと私達一般の方が分かってあげる必要性があります。動体視力や判断力も同様で、お年寄りに危ないとクラクションを鳴らしたり、高齢者運転を目の敵にしたりするのではなく、周りがもっと理解できると、誰もが安心安全で走りやすい道路、優しい世の中になるのにと感じます。

中川さんは、講習や安全教室では「指導」というより「アドバイスする」という姿勢を心がける。また、高齢者講習や交通安全教室で感じた「気づき」や高齢者の声を、若者が多い初心者向けの教習で、できるだけフィードバックしているそうだ。

子どもから高齢者対象まで幅広く地域貢献

今回のサポカー体験教室以外にも、『呉羽自動車学校』では、地域安全に貢献する講習や活動を数多く行っている。企業から依頼されて行う従業員の安全運転教育、地域の小学生対象の自転車教室、交通安全週間中には子供たちの登校時に横断歩道に立って街頭指導もする。

中川さん:自動車学校では安全運転技術を身につけた教習生を育てるだけでなく、子どもからご高齢の方までの交通安全にも幅広く関わります。また運転免許取得を通して地域経済の活性化や、若者たちの将来のキャリア形成の一翼を担います。このような地域社会を支えているという仕事にやりがいを感じます。

指導歴28年の大ベテラン。バイク好きが高じて指導員に

常に優しい眼差しで教習・講習を行う中川さん。『呉羽自動車学校』に転職して5年目になるが、自動車教習所の教官としては28年の大ベテランだ。バイク好きが高じてこの業界に入ったそうで、普通自動車や自動二輪車はもちろん、大型、中型、準中型、大型特殊自動車、高齢者講習指導員といったほぼ全ての教習指導員、技能検定員の資格を持っている。

転職組も多い『呉羽自動車学校』だが、中川さんはどこに魅力を感じたのだろうか。

中川さん:昭和39年に開校して約60年間、多くの優良ドライバーを育成し、「地域の交通安全教育センター」として地元で愛される伝統ある学校です。校舎が綺麗で新しく、オシャレなカフェが併設されている県内でも珍しい自動車学校である事はもちろんですが、県内初のオンデマンド学科教習をスタートさせるなど、時流にあった学校づくりに積極的なところにも魅力を感じました。職員数は多くはないですが、その分コミュニケーションが密接で効果的。役割や責任が明確で、協力しやすい環境がいいですね。

そう話す中川さんが一緒に働きたいと思う仲間は「元気があって明るく、人との関わり、コミュケーションが楽しいと思える人」。教習所というと「教える」ことがメインだと思われがちだが、「分かりあい」の精神が大切という。

地域の皆様に寄り添い、職場を盛り上げたい!

“教習所ならでは”といえば、やはり車、バイク、特殊車両好きな人が多い職場。中川さんの趣味はもちろんバイクだ。

中川さん:遠出でいえば、ツーリングで北海道に8回は行っています。四国にも2年前に行きました。最近はあまり行けていませんが、まとまった休みの日があれば、同じ趣味を持つ義父を誘って大型バイクで出掛け、テントを張ってアウトドアを楽しんでいます。

同じ『IKEDA Group』の企業から『呉羽自動車学校』に大型自動車や大型特殊自動車の運転免許を『IKEDA Group』の手厚い費用補助を受けて取得しにくる社員も多いそう。グループ内のゴルフコンペで遭遇したり、工場が近いため元教習生から「先生〜」と手を振られたりすることもしばしば。「やはりうれしいですね」とにっこり。

中川さん:教習や講習がお客様のニーズや時代の流れに対応できているか。また職員の心身の健康状態や組織としての機能が適切で円滑に行われているかを常に考えています。今後は、今以上に職員全員が各分野でスキルアップし、地域の皆様と共に、安心・安全な社会になるよう呉羽自動車学校職員全員で盛り上げていきたいですね!

「地域住民が生涯安全に生活できる環境づくり」へ、ますます地域密着・地域貢献に意気込む中川さんだ。