
トラック修理にともなう部品を一手に管理する「部品グループ」。そこに未経験・当時35歳で飛びこんだのが角尾 善典さん(46)。2025年、角尾さんは『いすゞ自動車』の全国サービス・部品技能コンテストの「部品クラス」において全国大会の出場権を獲得。入社から11年、どのように歩みこのような快挙にたどりついたのか。思うところを聞いた。
未経験で飛びこみゼロからスタート
2014年、『富山いすゞ自動車』に中途採用で入社した角尾さん。未経験ゆえの不安も渦巻くなか、あえて挑戦したのにはどういったワケがあったのだろうか。

角尾さん:エネルギー関連の会社で営業をしていたのですが、正直、労働環境が劣悪で…。「このままではもたない」と退職を決め、転職活動をはじめました。そんなときに見つけたのが『富山いすゞ自動車』の求人。当時、応募資格の年齢制限が35歳以下だったこと、『いすゞ自動車』といえば誰もが知る会社であることから、「いま・ここしかない!」と思い切って応募しました。
結果、角尾さんは選考を通過し「部品グループ」に配属。記憶を辿りつつ、新人時代のことを語ってくれた。

角尾さん:覚悟のうえで挑戦したものの、予想をはるかに超えて大変でした。好きな自動車の知識を活かせると思いきや、まったく歯が立たなかった。自動車とトラックは似て非なるもの。構造も部品も違うので、その一つひとつを覚えることからスタートしなければならず、毎日必死でしたね。だからこそ、職場の雰囲気の良さは救いになりました。年上はもちろん年下の先輩方も親身になって教えてくださり、本当にありがたかったです。
さらに聞くと、「1年ほど経った頃には、ある程度の業務がこなせるようになっていました」との答えが。自身のたゆまぬ努力、先輩方の手厚いサポートのかいあって、挑戦は見事、実を結んだようだ。
努力の先につかみとった全国大会出場

角尾さんの主な仕事はトラックの修理などにともなう部品の提供。部品は種類が膨大なうえに、新車両や新機構の投入による追加・更新もしばしばあるそう。すみやかに業務を遂行する秘訣について聞いた。
角尾さん:勉強につきます。じつはメカニックに叱り飛ばされたことがあるんです。「部品グループのくせに、部品について分からないと言うな!」って。腹が立ちましたが、至極当然なんですよね。部品グループが部品について分からないと言って済ませてしまうのは仕事を放棄しているのと同じ。だから、最大限、勉強するようにしています。おかげで、使用実績が極端に少ない部品を探し当てられたこともあり、心のなかでガッツポーズをしました(笑)。
「あいつならなんとかしてくれる」と信頼される"部品マスター"となるため研鑽を重ねる日々。やがて、角尾さんは大きなチャンスを手繰り寄せる。
角尾さん:『いすゞ自動車』の全国サービス・部品技能コンテストの全国大会に出場することになったんです。以前は地区大会に出場できるだけで満足だったんですが、全国大会で好成績を収めたメカニックをはじめたくさんの経験者から、「一度でいいから出場しておくべき」「問題は難しいけれど雰囲気がすごくいい」との声を聞き、「自分もいつかは」という気持ちが強くなっていきました。結果、6回目の挑戦で出場権を獲得。自身初そして、「部品クラス」でも会社初ということで孤独を感じる瞬間もありますが、サポートやアドバイス、叱咤激励をもらいながら、必死に勉強しています。
プレッシャーが大きいのではという問いに、角尾さんは笑顔。「はじめてなのでプレッシャーはありません。できる準備をできる限りやって、あとは気楽に臨もうと思っています」。その答えからは大舞台に真正面からぶつかっていこうとする覚悟が感じられた。
家族との時間は至福の癒し時間! 私生活では良きお父さん
日々の業務、全国大会の勉強と、多忙を極める角尾さん。仕事と私生活はどのように両立させているのか。
角尾さん:就業時間内は業務に集中し、残業はできるだけしないようにしています。共働きなので、帰宅後は家事を手伝ったり、夕食をつくったり。もともと休みは取りやすかったのですが、今期から完全週休2日制となり、よりメリハリがつけられるようになりましたね。
仕事と私生活をムリなく両立させ、休日もしっかりと充実させている様子。過ごし方についても深掘りした。
角尾さん:もっぱら息子たちの部活動や習いごとの送迎に費やしています。自分の時間はあまりもてませんが、家族との時間は楽しいですし、頑張っている姿を見ると刺激をもらえます。余裕ができたら、健康のためにはじめたサイクリングを再開するつもりです。天気のいい日、早朝から出掛けられたら最高ですね。

11年目のその先は「部品グループ」の活性化!

角尾さん:呉西サービスセンターの「部品グループ」に私より若い方が配属されることを期待しています。そうなったときは、自身が培ってきた知識や経験、先輩方から受け継いだノウハウをしっかりと伝えていきたいですね。
角尾さんに続く、全国サービス・部品技能コンテストの部品クラスの全国大会出場者の登場も待たれるところだ。
角尾さん:富山営業所の部品グループの若手からは、「おめでとうございます!」という声や、「いろいろ教えてください!」という声を掛けてもらっていて、全国大会に出場した影響を感じています。これをきっかけに、全国サービス・部品技能コンテストに興味をもってもらい、いずれは全国大会を目指してもらえるとうれしいですね。私も頑張ったかいがありますし、「部品グループ」の盛り上がりにもつながっていくと思います。
加えて、「将来はスポーツカーに乗っていたいですね」とも。好きな車で通勤できれば、ご機嫌で仕事に取り組める気がするのだそう。はたしてどんな先輩になっているのか、未来の角尾さんに乞うご期待!