
県内企業でリーダーを目指す女性を対象に富山県が開講する『煌めく女性リーダー塾』。自己研鑽と相互交流を図り、女性活躍の一層の推進を目指す当塾に、『コマツ富山』から参加したのが山﨑 克子さんと福田 穂奈美さんだ。2024年冬に修了式を終えて約1年、意識や行動にどんな変化が生まれたかなど、振り返りつつ語ってもらった。
会社の期待に応えたいと入塾を決意
本社の営業管理課に勤務する山﨑さんと、砺波営業所で副所長とレンタルフロントを兼務する福田さん。まずはふたりに入社の経緯や現在の仕事について聞いた。

山﨑さん:正社員で働ける会社を探していたとき、『コマツ富山』の事務職の求人を見かけ応募しました。入社は2013年で、以来、営業管理課に在籍し、建設機械の販売管理、車検などの書類作成・管理、電話・来客応対などを行っています。
福田さん:大学卒業後、建設機械の整備を3年間経験し、『コマツ富山』に入社しました。いまは、砺波営業所の副所長として所長・工場長不在時の営業所運営とエンジニア管理、レンタルフロントとして受注・請求業務、あとは事務処理も行っています。
所属も立場も仕事内容も違うふたり。揃って『煌めく女性リーダー塾』に入塾したのには、なにかきっかけがあったのだろうか。
山﨑さん:会社からの推薦です。『煌めく女性リーダー塾』には3つのコースがあり、私は自己変革と組織貢献を目指すアクションラーニングコースを受講しました。最後に成果発表会があり、グループワークで取り組んだアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)をテーマにしたアクションプランを発表しました。
福田さん:私も会社からの推薦で、リーダーシップやコミュニケーション能力を高めるスキルアップコースを受講しました。塾生同士、悩みを分かち合い解決策を探る、またとない機会になりました。自己成長はもとより、会社からの期待に応えたいという思いから、入塾後は積極的な姿勢で学び、あらゆる知識・スキルを貪欲に吸収することに注力しました。
積極思考、発信力、巻きこみ力など変化を実感
『煌めく女性リーダー塾』についてさらに尋ねると返ってきたのは、「約4ヶ月半、さまざまな座学や実践に取り組みました」との答え。では、なにを学び、なにを得て、どう活かしていったのか、具体的に聞いた。

山﨑さん:なかでも影響を受けたのが"リフレーミング"です。リフレーミングは、物事の見方を変えて、感じ方を変える思考法。塾では、自分の弱みを書きだし、それを、他塾生に強みに書き変えてもらうということをしました。すると、「おっちょこちょい」は「明るくお茶目」、「三日坊主」は「切り替えがはやい」、「緊張しい」は「真面目」になり、短所も見方を変えれば長所になると衝撃を受けました。 以降、"1日1リフレーミング"を心掛け、何事にも前向きに取り組めるように、また、落ちこんだときも気持ちを奮い立たせられるようになっています。これを積み重ねていけば、「自分なんて…」から「自分ならできる!」にマインドチェンジでき、自己変革はもちろん組織貢献にもつなげていきたいと考えています。
福田さん:海外に富山をアピールするというテーマで発表会を行い、私たちのグループは氷見産のハトムギと富山県産の果物をつかったフルーツティーを提案しました。人前で話すことにさほど抵抗はなかったのですが、ひとつ場数を踏めたのがよかったです。… それにしても、山崎さん、すごい! 塾の成果がでていますね。
山﨑さん:福田さんも砺波営業所から日々の業務改善について発信されているじゃないですか! 気づきをしっかりとカタチにして、しかも、各拠点に水平展開できているのはすごいと思います。
福田さん:ありがとうございます(照)。建設機械のオイル交換のことですね。20kg以上あるペール缶をもって2mほどの高所に上がるのは常々危ないと思っていたので…。10Lのポリタンクに変えたところ、安定した体勢で作業ができるようになりました。転落の危険性が減ったことに加え、改善策として各拠点に受け入れてもらえたことも、大変うれしく感じています。

ふたりとも入塾をきっかけに意識や行動に変化があったよう。話は尽きず、さらに聞いた。
山﨑さん:積極的にコミュニケーションをとるようにもなりました。朝の挨拶時に一声かけたり、気になった点があれば聞きにいったり。ちょっとしたことですが、続けているうちにいろいろな場面で助けてもらえるようになりましたね。あとは、他塾生からメンター制度について聞き、「当社にもあるといいな」と感じて、成果発表会で会社に提言したんです。すると、社長が採択してくださり、試験導入することになりました。いま、私を含む3名がメンターを担当し、手探りしながら取り組んでいます。他には、業務改善サークル活動に取り組み、安全な職場環境整備のための危険箇所の改善・耐震化、知識・スキル向上や業務効率改善のための定例勉強会、部門の枠を超えたサポート体制づくりのための業務共有化などを進めています。
福田さん:私もコミュニケーションのとり方が変わってきました。年に一度の安全衛生大会における、拠点ごとの安全改善活動の発表。これまではひとりで内容を考えていたのですが、同僚に声を掛けたことで、賛成、反対、助言、さまざまな意見をもらえ、より客観的な内容に練りあげられました。現在も良い意味でまわりに頼れるようになってきていますね。結果、課題が解決しやすくなったり、業務が円滑に進行できるようになったり、良好な影響がでてきています。
煌めくカギは"仕事も私生活も自分らしく"

そして、話題はワーク・ライフ・バランスへ。『煌めく女性リーダー塾』でよく挙がるキーワードのひとつだが、この捉え方についてもなにか変化はあったのか。
山﨑さん:特にありません。仕事も、私生活も、目の前のことに全力で取り組む。これをずっと続けています。ただ、今後、ワーク・ライフ・バランスをとらなければならない状況に直面したときは、当塾での学びをしっかりと活かしていきたいですね。
福田さん:砺波営業所に所属しているのは私を含めて3名で、事務処理を担当しているのは私だけ。だから、休暇を取得するとなると応援を呼ばなければならず、「大好きな旅行にいきづらい」と感じていたんです。けれど、所長が「そんなふうに感じる必要はない。私が代わりにやるから」と言ってくれて…。とてもうれしく、気分がすっとラクになりました。また、塾で講義を聴いたり他塾生と話したりするうちに、仕事と私生活どちらも充実させることが、自分らしく輝くこと、ひいては、より良いリーダーシップを発揮することにつながると考えられるようになりました。
数年後、理想のリーダーとなっているために

学びや気づきを意識や行動に落としこみ、日々、成長しているふたり。いま描く、今後目指したい姿とは。
山﨑さん:後輩を育成していける存在、そして、そのためのしくみづくりを推進していける存在になりたいですね。具体的には、スキルアップやキャリアアップをサポートするプログラムの導入を考えています。県外のコマツ代理店の女性管理職の方に話を聞く機会を設けるなどすれば、キャリアプランを描きやすくなるのではないでしょうか。あとは、女性従業員が交流できる場もつくりたいですね。そこで拾った声を経営陣に届けて、組織変革の一助にできればと思っています。
福田さん:元々はメカニックとして入社したので、メカニックとして成長したいという想いがあります。けれど、やりたいことと求められることにギャップがあり悩ましいですが、どちらにも貪欲に挑戦していきたいですね。所長をロールモデルに自分らしさを忘れず、お客様に納得いただける提案ができるよう少しずつ仕事に関して自信をつけていきたいです。
不安や葛藤を抱えながらも、視線はしっかり前。『コマツ富山』初の女性管理職が誕生する日はそう遠くなさそうだ。